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高松高等裁判所 昭和25年(控)95号 判決 1950年6月02日

被告人

竹内竹馬

主文

本件控訴を棄却する。

控訴申立後の末決勾留日数中百参拾日を本刑に算入する。

当審に於ける訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人矢野三郞の控訴趣意第一点について(中略)

原審判決の竊盜事件一覽表(6)の昭和二十四年十月二十六日午後六時頃幡多郡中村町県交通自動車停留所内で森節子の女用赤革製靴一足を竊取したとの事実は、右森節子の盜難届、前示司法警察員に対する被告人の第三回供述調書、昭和二十四年十一月十四日の差押調書、森節子の昭和二十四年十一月十八日の赤革中古品女靴一足の受領証によれば、右森節子が中村町県交通停留所に置き忘れた右女靴が同停留所である県交通中村営業所内のゴミ箱の上にあつたのを、同所の小使が被告人に対し此の靴はあなたのですかと尋ねたので、被告人は竊盜の犯意を以つて即座に、私の靴ですと答え、其の儘其処にあつた同靴を盜んで手に持つて中村の方に行つたものであることが認められる。右森節子が右女靴を置き忘れたことによつて、其の靴が同女の占有から離脱したとしても、同靴が県交通自動車会社の一営業所内のゴミ箱の上にあつて、同営業所の小使が其の所有者を尋ねたのであるから、同靴の占有は同営業所管理人にあつたものと言うべきで、占有離脱物を以つて目することは出来ない。よつて右女靴に関する論旨も理由がない。

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